本編完結を記念して、スタッフ&キャストにこんな事を聞いてみました。
「誓を何の神様だと思いますか?」
ご覧になりながら、皆さんも是非お考えください。

■ヨシミ役:音枝優日さん
「時の番人」
誓は神様ではなく時の番人のような存在。
シチュエーション的には死神っぽかったのですが、神様ではない、という設定の方が個人的にワクワクするなぁと。
誰かに命じられて、人々の持つ時間やストーリーを見届けなければならない存在。
途中でやめたり、放り出すことができない理由をかかえていて、与えられた役割をやり遂げなければいけない理由も同時に抱えている。
その役目に終わりが来るのか、彼にもまだわからない。
そんな妄想をしてみました。

■誓役:ちるたんさん
「木の神様」
誓に一番遠くて近い。恐らく本当の彼に触れることのできるであろう、「枝分かれした道の終着点」を待っています。ジャングルジムのジムリーダー、ちるたんです。

ちょっとずるいかもしれないですけれど、ヒントを探すために「誓い」という漢字について検索してみました。
誓いの「折」という字は草木、または矢を折ることで誓約の意を表し、「言」の部分は、それそのもので宣誓、祈祷を表しているとありました。

ここで、それっぽいものを拾っていき「木」の神様なのではないかと思いました。
ジャングルジムからずっと降りなかったのは、木の視点なので、ジャングルジムのてっぺんより下へ視点を持っていくのが面倒だったり。
基本的に公園から離れて何かをすることが出来ない。
蝉の声がうるさく聞こえたのは、自分自身にくっついていたから、余計に騒がしく感じた、とか。
木は夏の暑さに強かったり。
道の「枝分かれ」を未来の可能性に例えたり、生命の輪廻の話をしたり…。
誰かにとって一番進むべき「ちかみち」を知っていたり、枝分かれが始まる前の目に見えない「ちかの根」の部分だったり、名前一つとっても色々なことが思いつきます。(勝手に決めつけちゃってるのかもしれませんが…。)

誓が元々一本の木だったのか、それとも人だったのか、そもそもが全く別のものなのか。明らかになってはいませんが、八百万の国の神様ですから、達観した部分と人間らしい部分を持ちあわせた…あるいは、そういった部分を失うことをどこか拒んでいる。矛盾の中に存在する。
そんな誓のそばにいたい、共にいて欲しい…そんな風に思っています。
本当に、彼は一体なんなんでしょうか(笑)

■ヨシミの兄役:春日祐希さん
「絆の神様」
私が思うのは「絆の神様」なのではないでしょうか。
物語中、人と人との繋がりのことを良く知っていたり、スーパーの子供に対しては、その子の未来についても言っています。
また、自分の名前を名乗る時「誓」といったとき、なかなか良いと、気に入っているのもあり、「誓う」ということも、人との繋がり 、信頼などがあり、そこからも、人との絆の神様なのではないかと、思いました。

■ヨシミの姉役:武川鈴子さん
「久那斗神に近い神様」
誓は久那斗神に近いのではないかなと思います。
しかし災いを防いでくれるという意味合いからだと少々違う感じもするのですが、公園という場所柄、道祖神的な親しみやすさと、道や分岐点という意味合いから久那斗神が一番しっくりくるように感じました。

■幼馴染役:秋野旬さん
「死を司る神様」
まず台本を読んで率直に思ったのは、やたらと死を絡めてくる作品だと思いました。
なぜ、ここまで死を絡めてくるのか?
そう考えたとき、この作品の伝えたいテーマは「死」なのかと思いました。
まず誓が素性を言い当てた人間は、死に関連した結末を迎えている事。
思うに、誓は死の間際(或いは予定)の人間の情報を前もって知っていたからだと思いました。

そうすると一つ目のポイント、誓がヨシミの事を知っている事はなぜか?になるわけですが、そこで僕が行き着いた答えは、ヨシミも「近い内に死ぬ運命にあった」です。
そう考えると、ヨシミと他の素性を知られていた人間達との間に共通点ができます。
ただし、この説でいくと今回ヨシミは死ななかったじゃないか!と言う結論になるわけですが、僕はこう考えてみました。
今回、ヨシミは「死を免れる選択肢を選んだ」です。
では、その選択肢は何処だったのか?
僕は、3話目の殺人事件のニュースの場面だと思いました。
今回ヨシミは、このニュースの後に「外に出かける」という選択肢を選んだ事により、死ぬ運命を回避したのではないか、そう思いました。
だから、4話目の終盤で誓はヨシミの前から姿を消したのです。

僕の予想ですが、もしあの場面で「外に出かける」という選択肢を選ばず「姉と一緒に夕飯を作る」という選択肢を選んでいたら・・・
この後に、家に強盗が押し入り姉とヨシミは殺されると言う結末があったのではないか?と予想してみました。
つまり、「家に強盗が入る」という事象は決められている事になるわけなので、今回のルート?で行くと、エンド後に幼馴染と一緒に家に戻ったら、姉は死んでいると言う結末が待っているわけです。
最終的には、バッドエンドな訳ですね(苦笑)

ですが、この考察でいくと一点気になるポイントが出てきます。
3話目の次回予告の誓の台詞「ヨシミ。君は昔から優しい子だったね」です。
僕のこの考察で考えると、ヨシミを昔から知ってるのはおかしくなってきます。
そこで、「死神=守護霊」ではないかと推測してみました。
死神は一人ではなく、人間の数だけ存在しているのではないか?
つまり、最初は守護霊のように見守っているのですが、その担当する人間に死が近づいてきたら、その人間の魂が迷わないように導く存在(死神)に変わる。
そう考えれば、ヨシミを昔から知っていてもおかしくない事になります。

これが、僕が誓は「死を司る神」ではないかと至った経緯です。

■子供達役:縁茜莉さん
「選択を司る神様」
本編を通して、ぼんやりとした誓の返答に何の神様なのかとても悩みました。
最初は、誓の「行く末をここからこうして眺めているだけさ」という台詞で『思い出を司る神様』なのかなと思いました。
生まれ消え行くものを見守るだけしかできない神様なのかなと。
しかし、本編を読み進めていくうちに少し違うかもと感じました。

本編を通して話題に出てきたのは、選択をどうするかで未来が変わるという事だったと私は思っています。
その為、最終的には『選択を司る神様』なのかなと感じました。
誓が言い当てた過去や名前や未来は、全てその人達の選択した結果が齎した情報です。
個人的に誓の最後の「楽しみだよ。彼女達がこれからどんな道を選択していくのか」という台詞が凄く記憶に残っています。
未来の地球滅亡も、彼女達の選択で防げるかもしれない…という意味を込めたのかなと思いました。

■子供達&女子高生役:来生華さん
「存在の神様」
名前はその人・物の「存在を表すもの」で、誓がヨシミや子供の名前を言わなくても把握していたのは、全ての「存在」を司る立場にいるからなのだろうと思いました。
誓がヨシミに名前を訊ねられて「ない」と言ったのも、彼自身が「存在」の象徴で、固有の名前を持たなかったからだと思いました。

■店員A役:音狐路地さん
「終わりの神さま」
物の終わり、生命の終わり。
誓はその終わりを、ただ見守る、見届ける。
それじゃあ死神じゃないか?とも思われますが、誓は奪うのではなく、ただ終わりを見ている、終わりまでの道を見ている。終わりそのものなのじゃないかなと思いました、実際に終わりという表現があっているのかはわかりませんが。
なぜ、終わりの神さまだと思ったのか。それは、本編を見ていて物や命の死に対する、誓の言動。最後に出てきた謎の男との会話などからの推測です。

そして、その男は「はじまりの神さま」なんじゃないかと。
誓が最後に言った言葉「道の終着点で」という台詞から、最後に待っているのは誓…つまり終わりそのものなんじゃないかという結論に至ったわけです。
未来は多数あり、誓は誰がどの道を行くのかはわからない、けども最後はわかっている。
私は理由にしては明確に表現できませんでしたが、このような理由で誓が「終わりの神さま」だと思いました。

■店員B役:きょりすさん
「ifの神様」
最初私は「ifの神様」かなって思いました。
人の未来が見えてしまうがゆえ、「もしも」を願う。
人の分岐点を見守り、またその決断も見届ける。

…って真面目に考えたのですが、誓はジャングルジムに棲んでたり、アイスが好きだったりでとっても子供っぽいし、何よりヨシミの事が大好き。うーん

「ヨシミの神様」…かな?

■母親役:黒守九十九さん
「死神に近いもの」
ヨシミは誓を「神様というか死神に近いもの」と考えたのではと思いました。
死神に近いというのは、命を刈るわけではなく、人の行く末を知っているけれど、それをどうこうすることなく悲しく見守っていることから、そう感じたのではないかと思いました。

■子供(姉)役:愛姫うきさん
「地元の神様」
最初のイメージからいくと、地元の神様みたいなものだと思っていました。
その地域に住むひとたちを昔から見守っている存在。
なにかをしてあげるというわけではなく、本当に暖かく見守っている存在の神様…ですね。

でも台本をじっくり読んでいくと、神様というよりは、実はむかしヨシミや幼なじみと一緒に遊んでいたお友達なのかなと思ってしまいました。
だからヨシミの昔のことを知っている…というような。
台本に出てくるキャラが絡むゲームも遊ばせていただいて、そうじゃないかな?と思ったかんじです。
4話最後に出てくる男性と誓が絡んでいるので、「未来を見通せる力」は、砂時計を使えば、いくらでも時間を戻せるので、先のことを知っていてもおかしくはないし…と。
「砂之時計」では、主人公が自分で選択していったけれど、「ジャングルジムに棲む神様」では、誓が時間を戻し、ヨシミとの絡みで彼女自身の選択をかえてゆき、最終的には、誓のもとへと繋がるゴールへ導いているのでは?
と、いろいろ考えてしまいました。
それはそれで面白いかなというのもあってなのですが、実際の答えがとっても気になるところだったりします。

■子供(妹)役:こっこさん
「付喪神」
トイレの…ではなく、ジャングルジムに棲んでいる、付喪神のような感じかなー、なんて思いました。
ずっとヨシミや周囲を見守っていたり、いろんな光景を見てきた…もしかしたら偉い神様なのかも…。
そう考えると何だか少しワクワクしますね。

■アナウンサー役:結城ハイネさん
「生命の神様」
誓は…生命の神様。
人に寄り添い、最期の時も見守ってくれるような。
物ごとや世界を司るというよりも、人の内側の宇宙を知っている。
特別な存在なのではなくて、人の心の中にいる存在…。
お話を読んでいて、そんな気が致しました。

■男性役:瀬良響介さん
「枝分かれした運命を導く力のある神様」
数々の運命を悟ったかのような誓の発言と、最後のシーンでの男性との会話で、ヨシミたちを「奇跡が生んだ子」と発言した部分が、数々の悲劇の運命を乗り越えた意味になるのかと考えたから

■イラスト:浅葱空さん
「摂理(もしくは運命)の神様」
理由としては、「神様がヒトのために用意し導いている道筋=摂理、運命」があるものの、それをヒトは自由に選択できることによって、様々な理由で惑い道筋をはずし神様を裏切る…という神学に通じるものがあったからです。
誓の台詞はその人の道筋を、その先をほのめかしたりしていました…。
なので、誓は道筋を造り出したり色々見通したり、知っていたりしていても、その道を選択するかどうかはヨシミたちヒトの方だから、それを手出しできない。
本編でもヨシミが「私達が裏切ってしまった」と言ったのもそういうことなのかな、と…!まじめに考えて色々調べてしまいました(笑)
うまくまとめられないのがもどかしいのですが…正解かどうかもわかりませんが、これも私のひとつの「答え」として受け取ってください。

■音響編集:木下結璃さん
「ノルンのような神様」
誓さんの「見ることは出来てもなにもしてやれない」といった様子から、未来や現在、過去を見ることの出来る北欧神話のノルンのような存在なのかなあ…と感じました。
見ていることしか出来ない神様が自らなにかを変えようとヨシミちゃんの前に現れたのかと思うとなんだか素敵だな…と!

■企画統括:李出辺里
「誰かから“全知”の役目を与えられた神」
皆さんの回答をカンニングしてから書いております、李出です。
多種多様な回答に、なるほど…と納得出来る理由もあったりなど、楽しみながら読ませて頂きました。
答えを知ってる癖に回答するなんてずるい!と思われるやもしれませんが、わたくしは代表でありながら物語の大前提を存じません。
持っている情報量は、他のスタッフ様と大差ないかと思います。

さて、誓が何の神様か?という事ですが、ヨシミがそれについてあれこれ考えているショートストーリーがありましたね。No.006では、キリスト教の内容が色濃く書かれておりました。
しかし私は、誓とキリストは大した繋がりはないものと考えております。
このジャングルジムに棲む神様は、公園に居座っている事や、子供の話題を多く出している事から、子供好きである事が覗えます。大人よりも未来があるから、という可能性もあるかもしれませんが、大人に対しての発言には、やるせない気持ちはありながらも、否定の意は込められていないように感じます。
ですので、誓は子供を始めとして、人間を好いているのはまず間違いないと考えるのです。
ショートストーリーにあった話では、神様は規則を破った人間に怒り、罰を与えました。それは今も尚、続いています。
「あのときあの道を選んでいたら、最悪の結末を避けられたのになあ」と嘆く誓が、同時に人間を罰し続けているとは考えられません。
そのため、ショートストーリーNo.006はあくまでも“ヨシミの憶測”であると捉えるのが妥当ではないかと思います。

話が振り出しに戻ってしまいますが、私はどうも、誓よりもさらに上に位置する存在がいるような気がしてなりません。
誓は人を越えた“神”であると自称しているものの、何かに捕らわれており、“見ること・知ること”以外の行動を束縛されています。つまり、動く事が出来ない。
神が何かを縛られているなんて、ちょっと違和感がありますよね。縛られている、という事は、縛っている誰かが…或いは何かがいるのだと思うのです。
しかし、見ること・知ることに関しては飛び抜けている。となると、“全知全能”で言うところの“全知”を、役目としているのではないでしょうか。

ヨシミは本編で「あなたがそこ(ジャングルジム)から下りたところを一度も見た事がないわ」と言っていたように、彼は本編中にジャングルジムから下りる事はありませんでした。
……いえ、嘘をつきました。下りましたね、最後に。それこそ重要な鍵となるのではないでしょうか。
4/4の最後、誓は遂にジャングルジムからその体を下ろしました。これを私は、自由になったという事の隠喩だと考えます。
では、どこにその“自由になるきっかけ”があったのかという事ですが、それは面白い言い回しで今も耳に残っている、誓の、

 「特別出血大サービスだ」

という言葉です。
まるで、この時を待っていた、と言っているようではありませんか?
彼は恐らく、ずっと待っていたのです。無限の可能性の中から、彼が期待する“道”が決まったあの瞬間まで。
そして、彼は予言を残し、ヨシミの前から姿を消しました。
…余談ですが、4/4で幼馴染が公園にやって来る前に、ヨシミは誓とそれに関わる事をすっかり忘れてしまった、と私は感じたのですが、皆様は如何でしょうか。
そこで私は、誓がやるべき事…或いはやろうとしていた事は、ヨシミに自分の存在を認めさせる事ではなく、あの予言を残す事だと考えました。そしてそれが、前述した“自由になるきっかけ”に繋がるのではないかと…そう思うのです。
“自由”というのが、どこまでの範囲を表すものなのかまではわかりません。誓はあの後、言葉の通り「道の終着点」でヨシミがやって来るのを待つのでしょうが、彼自身が何かの行動を起こす事が出来るようになっているのかまでは、わかりかねますね…。

誓にとって、ヨシミは代え難い存在であるという事は確かです。
彼女の存在と、彼女に対して何かを働きかける事によって、誓自身にも影響が及ぼされていくのです。

物語に関わってくる神…もとい奇妙な力を持った存在には、平凡ながらも必要としなくてはならない“人間”がいるのかもしれませんね。
時を操る砂時計を持つ青年に、あの男が必要だったように。